こんばんは。
先日、札幌のKINOでヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」を観てきました。主演の役所広司がカンヌ映画祭で主演男優賞を受賞したことでも話題になった映画です。
過去に何かのトラブルがあり、現在は古いアパートで一人暮らしをしながら、トイレ清掃で生計を立てている男性の平山役を役所広司が演じています。平山は無口な男ですが、毎日、毎週のルーティンを確立し、行きつけの飲み屋、銭湯、古本屋、写真屋などの店員とのコミュニケーションもあり、悲壮感はありません。
海外の映画評では淡々としかし前向きにルーティンを送る平山は、禅的な世界を生きていると書かれていました。映画ポスターにも「こんなふうに生きていけたなら」というコピーがついています。現在社会は何かとストレスを感じながら生きている人が多いので、平山の悟ったような生き方に憧れを持つ人は多いと思います。
平山の特徴として単線的な時間に縛られないという点が挙げられます。彼は仕事に行くときに腕時計をあえてしませんし、カセットテープやフィルム付きのカメラを使います。「今度」と約束した姪に今度はいつかと聞かれた時は、「今は今、今度は今度」と答えます。単線的時間から抜け出したときに、人は新たな幸せを見つけられるのかもしれません。