こんにちは。
先日、札幌市中央図書館でヒグマの生態についての講演会がありました。タヌキ(妻)の北海道にいるならばヒグマに詳しくなるべき!という思いつきで夫婦で行ってきました。講演者は北海道大学の坪田敏夫先生でした。事前申し込み制にも関わらず120人程度の席が、ほぼ埋まるという盛況ぶりでした。
ヒグマの特徴として以下の3点が挙げられていました。1点目は、ヒグマによって海域と陸域の生態系がつながれているということです。これはヒグマが鮭や鱒を食べることによって、これらの魚のたんぱく質が森林をつくる窒素源の一つとなっているということでした。
2点目はヒグマは冬眠する哺乳類の中でも珍しく、冬眠中は数カ月、目を覚まさないそうです。なぜ数カ月、排尿しなかったり、体を全く動かさなくても筋肉や骨が痛まないのかについて、詳しいメカニズムはまだわかっていないそうです。また出産も冬眠中にするということで、母熊は出産前後のみ目を覚ますそうです。
3点目は雑食であるという点です。春はフキやセリ科などの草を食べ、夏は山ぶどう、ハイマツの実、アリなどの昆虫を食べ、秋はサケやマス、どんぐりなどを食べるということです。エゾシカなどの動物を食べることはあまりないそうです。大人のエゾシカにヒグマは追いつけないため、食べる場合は産まれたばかりのエゾシカや、何等かの理由で亡くなったエゾシカを食べることになるようです。
近年、ヒグマが人が住んでいる領域に姿を見せることが多くなった理由としては、数が増加したことに加え、人間は中山間地域での活動(木材の伐採など)をすることが減少したことで、熊の活動領域が広がっているためであると説明がありました。またどんぐりや山ぶどうが不足する年には、熊が食べ物を求めて山から下りてくる場合があるそうです。昨年、熊の出没が多くなったのは、どんぐりや山ぶどうの不足が大きな要因のようです。
加えて近年、デントコーンの作付け面積が広がっているということも要因としてあるそうです。熊はデントコーン畑の中央部分で食べるという点が興味深いです。これは外側から食べていくとすぐに人間に見つかっているというのを知っているからだそうです。それで何度も成功すると、だんだん行動が大胆になってくるというのが、人間と似ていると感じました。
ヒグマの人的被害は多くの場合、単独で山に入った時に起こっているそうなので、単独行動を避けたり、音を出したりするということが遭遇を避けるためには有効であるとのことでした。
下の写真は北海道大学の植物園にあるヒグマのはく製です。
ちなみにエゾタヌキ(妻ではない)はふらふら歩くそうです。